二千年。随分と壮大な申し入れをしてしまった。
二千年。その間、一日たりとも忘れたことはない。やはり長かった。待ち遠しくも、重荷にも感じた。
ついに教会に行くべき日が、やってきた。
二千年ぶりに訪れる教会は、その歳月を感じさせなかった。二千年前よりも美しくなっているとさえ思った。屋根は眩しいほどに輝いている。中へ入ると、床は磨かれ、本当に塵ひとつ落ちていない。非常に丁寧に、几帳面な管理が続いているのを感じた。彼らしいと思った。
「約束の日が来ました」
思いがけず、声が震えた。
彼は少し疲れて見えた。抱擁し、口づけると、微かに異音がした。教会そのものには感じなかった二千年の歳月だが、やはり長かったのだ。
二人で塔へ上がった。彼を座らせる。指輪を出し、彼の手を取った。嵌めた指輪は、瞬時に彼の手に融合した。
釣鐘を下ろす。彼を閉じ込めた鐘は、まもなく一回り大きくなった。鐘の音も半音、低くなった。
教会の扉を開く音がする。二千年後、金属になって久しいこの指に指輪を付けると約束する人だろう。