その教会は、神の夢で構成されている。二千年に一度、寝返りの拍子にぽろっと顕現する微睡みのカテドラルだ。
「おひさしぶり。お元気そうで」
「おひさしぶり。そちらこそお変わりなく」
東の悪魔と西の悪魔が再会する。二千年にわたる約定を果たすために。
「元気に育っているでしょうか」
「元気に育っていることでしょう。この二千年間、主はさぞ寝苦しかったに違いない」
くつくつ笑い合いながら、教会の門をくぐる。
「にゃあん」「にゃあん」「にゃあん」
聖堂内で彼らを迎えたのは、黒い天鵞絨に身を包んだ小悪魔の群れだった。
二千年前に仕込んだ嫌がらせの種が、見事に結実しているのを目の当たりにして、二匹の悪魔は祝杯を上げる。