はじめに神は酒を醸造した。
天と地の前に、創造主が酒を醸造したことはあまり知られていない。
時間の元となる原酒である。原酒が出来、時が刻まれ、それから天と地が生まれ、光を良しとした。
上の水、つまり雨のいくらかは、神がこぼした時間原酒である。
雨の日に、上を向いて口を開けている子は、よくわかっている。
下の水、つまり海のいくらかも、神がこぼした時間原酒である。
塩気が強いのは、肴も一緒にこぼしたからである。
さて、神は時間原酒の大半を飲んでしまった。人々は年を経るとそのことに気が付くが、どんなに憤っても、神からの返事はゲップがせいぜいである。