「しろいふくで、きてください」
白い葉書が届いたので、白いシャツに白いスカート、白い帽子を被って、白い靴を履いて出かけた。私の歩くところだけ、雪が降っている。今は夏だ。
葉書に行先は書いていないけれど、雪が導いてくれたので心配なかった。着いたのは森だった。
よく知った森だが、今日は白い。案内の雪はもう止んでいた。樹木が、葉が、土が、白い。
白い森の中を白い服で歩いていると、白い小屋を見つけた。白い服を着た魔女がいた。7歳くらいの女の子に見えるけれど、魔女のことだから年齢はわからない。
「お招きありがとう」と言うと、魔女は「本当に来てくれた!」と喜んだ。
真っ白なティーセットで、牛乳とブールドネージュを白猫が運んできた。
「お茶会をするには、白い魔法を森に掛けなければならないの」
と、魔女は心底不思議そうに言った。
魔女と別れるといつもの鬱蒼とした森だった。あの魔女が棲むには、暗すぎるような気がした。
以来、時々白い森へ出かけるようになった。「お茶会」と言うけれど、ティーカップの冷たい牛乳をゴクゴク飲む姿を見ると、やっぱり魔女は幼くて、まだお茶が飲めないのだと思う。