一方は死に至る毒薬。そしてもう一方は詩に至る毒薬。
どっちだって同じことだ。どうせ毒なんだし。
そう思って一気に呷ったそれは、どうやら後者だったみたい。
斯くて、私の余生は詩に向かってひた走る。
毒に侵された体組織はメタファーに変異し、弱りゆく脈拍は韻律に転調する。
生命体としての私はじわじわと希薄になって、一方で詩たる俺はくろぐろと硬質化する。
近く、君はきっと見るだろう。死の床に横たわる俺を。
或いは五言絶句を。
或いはソネットを。
或いはとりとめのない口語自由律を。