2019年11月8日金曜日

致詩性の毒/立花腑楽

 一方は死に至る毒薬。そしてもう一方は詩に至る毒薬。
 どっちだって同じことだ。どうせ毒なんだし。
 そう思って一気に呷ったそれは、どうやら後者だったみたい。
 斯くて、私の余生は詩に向かってひた走る。
 毒に侵された体組織はメタファーに変異し、弱りゆく脈拍は韻律に転調する。
 生命体としての私はじわじわと希薄になって、一方で詩たる俺はくろぐろと硬質化する。
 近く、君はきっと見るだろう。死の床に横たわる俺を。
 或いは五言絶句を。
 或いはソネットを。
 或いはとりとめのない口語自由律を。