2020年1月12日日曜日

御神籤/五十嵐彪太

 初詣でおみくじを引くのは久しぶりだった。最近はおみくじもデジタル化している。電子マネーで100円。スマホでピッとするとパッと画面におみくじが現れた。風情もありがたみもないな……と思ったが、あたりを見回すと老いも若きも熱心に画面上のおみくじを読み込んでいるようだ。
 改めて、画面に目を落とす。「並」? 
「待ち人 来るかもしれない来ないかもしれない」
「失せ物 出るかもしれない出ないかもしれない」
「学問 とりあえず勉強はしたほうがよいだろう」
 頼りなく意味のない文面のおみくじである。皆どうしてこんなのを熱心に読んでいるのだろう。
 一通り読み終わると「結びますか」と画面に出た。「はい」を選ぶと、画面操作でおみくじを疑似的に畳み、結び目を作るように促される。なかなか難しい。悔しいのでムキになってしまう。ああ、皆これをやっていたんだなと合点した。
 やっと結び終わる。
「48秒 中吉」
「もう一度引きますか」