2020年1月26日日曜日

爪先に炎/立花腑楽

 あなたの手はいつも冷たい。
 だから、そんなあなたの手にぽうっと炎が宿るとき、私はいつも倒錯する。
 それは、中指の爪先に灯る、タバコの火口みたいなささやかな炎だ。
 ささやかだけど、それで充分。
 充分なのだ。私を爆発させるには。
 今宵もまた、あなたの指先が私の芯に触れる。
 あなたの炎は導火線を駆け抜け、私の発火点に到達する。
 ばらばらに爆ぜた私を、あなたの手が再整形する。
 やはり、あなたの手はいつだって冷たい。