国葬が厳かに進行する。
騎士団長の名前が読み上げられ、国王自ら弔辞を送る。
救国の英雄の死を惜しみ、列席者たちは啜り泣きとともに哀悼の意を捧げた。
続いて、私の祖父の名が読み上げられた。
呆気に取られたが、それは他の列席者も同じだったろう。
先月亡くなった彼は宮廷道化師だった。
その類まれなる狂態と愛嬌で、国中に名を轟かせていた祖父だが、それにしたって道化師の国葬なんて聞いたことが無い。
国王は、先の騎士団長への弔辞同様、仰々しく我が祖父の功績(というか痴態)を讃え始めたのだが、途中でグフっと息を詰まらせると、ひくひくと肩を震わせながら、そのまま式典の場に蹲ってしまった。
それを見て、もう何というか、無理だった。
そこかしかで、プ、グフ、グフフという忍び声が聞こえ、場の雰囲気全体がおかしくなっていく気がした。
堪えきれないのは私も同じで、こんな状況でも淡々と葬送曲を奏でる宮廷音楽家たちに、おいお前らいい加減しろと言いたくなった。