久しぶりに宇宙からビー玉が転がってきた。覗くと吸い込まれそうになる。澄んだ泉のよう。いや、泉ではなくて、宇宙なんだ、と思い直す。
古いピンボール台にセットして、弾くと地球のビー玉とは違う動きをする。まだ重力に慣れていないのかもしれない。
何回か遊んでいると、地球仕様のビー玉になる。覗けばやっぱり綺麗、だけど吸い込まれるような感じはなくなってしまう。
そうなったら、宇宙に返す頃合いだ。星のよく見える晩、ピンボール台を庭に出す。何度か弾いているうちに、ビー玉は宇宙に飛んでいく。
宇宙のどこの誰が、どうやって遊んでいるのか知らないけれど、こうしてビー玉交換をもう六十年続けている。