銃弾が尽きたので、エビフライを撃ち合っている。
矢弾尽き、刀も折れ、兵糧だって風前の灯だが、なぜだかエビフライだけは潤沢にある。
エビフライは兵糧にはならない。我国も敵国も、エビフライには飽き飽きしている。
そりゃエビフライに殺傷能力など無いが、ライフルに詰め込んで撃つには、ちょうどいい形状なのだ。
まぁ、死なぬにしても、あのトゲトゲが当たれば少しは痛かろうよ、という戦術的理由も無いでもない。
そうした次第で、我軍も敵軍も、日がな一日、エビフライを鉄砲に詰めては撃ち合っている。
今日はちょっと前線が動いたらしい。
我軍が通った道の、そこかしこにエビフライが転がっている。
腹をすかした野犬どもが、後ろ足で砂を引っ掛ける。