2020年7月12日日曜日

液状化遺跡/立花腑楽

 空間軸でなく、時間軸でも振動は発生する。
 前者は地震で、後者は時震だ。
 時震が甚だしいと、ぼくらの歴史もいくぶん曖昧になる。
 砂に溶けていくみたいだ。記憶も、教科書の記述も、過去の遺物さえ。
 しかし、面白いことに、歴史とは再結晶化するものらしい。
 たぶん、この世の果てで、老賢者が何かをふっとを思い出したようなタイミングで。
 世界が油断している狭間に、ぬっくと歴史が帰還する。
 うちのベランダの鉢植えから、小さな小さな仏頭と恐竜土偶が発掘された。