2020年7月12日日曜日

液状化遺跡/五十嵐彪太

 昔、ちょっとだけ大きな地震があった。海沿い一帯で液状化現象が起き、さらさらと地面が流れてしまった。すると、埋まっていた昔々の町並みが浮き上がってきた。
 歴史学者は歓喜した。地質学者は頭を抱えた。歴史書の記述が変わり、遺跡をどう保存するかの議論が活発になった頃、またちょっと大きな地震が起きた。遺跡は液状化し、さらさらと流れていってしまった。
 保存運動をしていた人々は肩を落としたが、遺跡が流れた後には、さらに大昔の町並みが浮き上がってきた。
 地質学者によると大地震はしばらくないと予想されるが、気象学者によると遺跡一帯は雨期に入るそうだ。雨で遺跡が流れた場合、次の遺跡が浮き上がるかどうかは、今後の研究が待たれる。