郵便受けに小さな惑星が入っていた。
作られたばかりと見えて、所々柔らかく、点在するにきびみたいな火口から煙が上がっている。
それでも、すでにわずかばかりの住民が暮らし始めていて、うごうごと原始生活をしている様が何ともいじらしい。
そのうちの一人が私に気づいて(彼らから見れば、私は世界に覆いかぶさるような大巨人に見えるだろう)、しきりと何かを訴えようとする。そして、あれよあれよという間に、惑星中の老若男女が集まってきて、天を仰ぎながら、てんでバラバラに喋り始める。
声は小さいし、表現は稚拙だが、それでも数が集まれば、それなりの情報量になる。
彼らの言わんとすることは、つまりこういうことらしかった。
「我々とこの惑星は、我々の造物主からあなたへの贈り物なのです。十分な水を与えて、よく陽の当たる場所に置いてください。きっと豊かな緑の星となることでしょう」
素敵な贈り物だ。是非ともお礼がしたいと思った。
しかし、どの住民に尋ねても「口にするのも畏れ多い」と言って、造物主の名を教えてくれない。