森星霜
2020年11月3日火曜日
都市散骨/五十嵐彪太
今日も骨の粉がサラサラと降ってきた。手のひらをかざすと僅かに白い粉が落ちる。東京で、唯一散骨が許されたこのビルの屋上、当初は反対が多かったとも聞くが、今では当たり前の光景だ。
アスファルトに、街路樹に、走る車に、誰かの傘に、誰かの髪の毛に骨の粉が落ちる。故人はこの都市の一部となる。
自分もいずれそうなるのだろう。東京で生まれた私は、遠くの海や知らない山に骨を撒かれるよりも、そのほうがいいような気がする。
心の中で手を合わせ、駅への道を急いだ。
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