「FF」と表記する。これで漢字一文字だ。
読み方は知らないが、有限の終わり、転じて世界の終わりを示す一文字だ。
世界はいずれ「FF」の日を迎え、そっと終わるのだろう。
誰も彼もそんなことを考えながら、日々をぼんやりと過ごしている。
「本当は内緒なんだけどね、そのずっと先もあるんだよ」
彼女はそう笑いながら、聖典に記載された「FF」の下に、もう一つ「FF」を書き足した。
2×2にならんだF。それをとんとんと叩く指。世界がデジタル震でジジジと揺らぐ。
「ぼくらはまだまだ進化するよ。8の世界から16の世界へと」