葦船の中は保育器みたいに快適だった。 それでも蛭子は父母に遺棄されたことが悲しくて、しくしく泣いた。 やがて、船が大海に流れ着いたころ、蛭子は髭面の男神に拾われた。 「お前も母がおらぬか。俺もだ」 髭面がくしゃっと幼くなり、蛭子を抱いたまま海に向かってわんわん泣き出してしまった。