2026年7月30日木曜日

#夏の星々140字コンテスト「器」投稿作/立花腑楽

    葦船の中は保育器みたいに快適だった。
    それでも蛭子は父母に遺棄されたことが悲しくて、しくしく泣いた。
   やがて、船が大海に流れ着いたころ、蛭子は髭面の男神に拾われた。
   「お前も母がおらぬか。俺もだ」
   髭面がくしゃっと幼くなり、蛭子を抱いたまま海に向かってわんわん泣き出してしまった。