俺みたいな風説士は食っていけない世になった。風説の流布が禁止されたからだ。かつての馴染み客に駄法螺を密売して糊口を凌いでいたが、最近は自棄になって「こんな世界終わっちまうよ」としか騙っていない。客はうんざり顔で「また同じネタかよ」と文句を言うが、代金はきっちり払ってくれる。
++++++++一次選考通過
サンキュとだけ言って、体育館に戻っていった。慌てて呟いた「安静にしなきゃ」は、彼の背に追いつけなかった。半分に切った湿布を手に、西日差す保健室に取り残される。じわじわ蝉が鳴く。あの青痣は確かこのあたりだったろうか。自分にも湿布の片割れを貼り付ける。冷たくて、ひゃっと声が出た。
眠れなくて祖母の部屋に行く。彼女は魔女なので夜更かしなのだ。「毛布をしばらく窓の外に掛けておくといい。月光浴が不十分で眠りの力が弱まってるのさ」そんなおまじないより、一緒に寝て欲しいと訴える。「いいから言う通りにやってみな。小さな魔女さん」偉大な師匠は私の額にキスをする。